地球上の最も創造的な頭脳の一部は、どのようにして宇宙を植民地化できるかを考えている。地球の軌道上には、将来的に人類を深宇宙へ送り出すための拠点として使用される可能性のある場所があるが、地球上に小さな空気のポケットを作り、人間が住める環境を整えようと考えている人々もいる。その解決策の一つとして、飛行機の内部のような空間を、人間が快適に感じられる環境に変えることが挙げられる。そのために、新たな微生物、例えば酸素なしで長期間生存できる大腸菌(E. coli)の変異種を作ることが考えられている。
宇宙に真の「家」を作るための第一歩は、極端に低酸素な環境を作り出すことである。ほとんどの人間は、酸素なしでは数分しか生存できない。なぜなら、呼吸できる空気がなくなると、体は代替のエネルギー供給手段として解糖(無酸素性解糖)を利用するが、それも長くは続かないからだ。空気がない状態が3分続くと、体は脂肪の貯蔵エネルギーを使い始め、乳酸が蓄積し、神経組織に損傷を与える可能性がある。酸素濃度が2%未満の環境に5分以上いると、乳酸がけいれんや死亡の原因となることがある。
すでに科学者たちは、宇宙空間で生存できる微生物「デイノコッカス・ラディオデュランス(Deinococcus radiodurans)」を作り出している。この微生物は非常に耐久性が高く、多くの科学者は、核爆発にも耐えられる可能性があり、もし地球上の生命がすべて消滅した場合でも最初に生き残る生命体になるのではないかと考えている。
宇宙で低酸素環境を作り出すための第二歩は、その環境をほぼ完全に水のない状態にすることである。これは宇宙の最も寒い地域で自然に起こることもあるが、低酸素の環境でも同様に可能である。人間の体は、体の5%が水で覆われている状態であれば約1か月生存できるが、体の25%以上が水で構成されているとほとんどの人が死亡する。水が非生物的な溶液に置き換えられれば、体は数か月から数年にわたって生存することが可能になる。
人類を火星に送ることに対する関心が高まっているため、NASAの研究者たちは、水滴に微生物を含ませ、それを宇宙空間に持ち込んで何が起こるかを観察する実験を行った。この「宇宙の細胞」には水がほとんどない状態が作り出されるため、生き残るには適応するしかない。
研究者たちは、微生物を含む水滴を宇宙空間に15分間さらし、その後地球に持ち帰った。水滴の水分量は増加したが、それでも凍結したままだった。最も重要なことは、この水滴の中にいた微生物が、15分間宇宙空間にさらされても生存できたという事実である。
また、研究者たちは微生物のサンプルを低酸素の空気に数時間さらす実験も行った。その結果、微生物は低酸素環境に耐性を持つようになり、科学者たちはこのプロセスを利用して、新しい低酸素耐性の微生物変異株を作り出すことに成功した。
もし科学者たちが、酸素を生産する主要な手段として細菌やその他の微生物を利用する環境を作り出せるならば、人類は宇宙ステーションを植民地化し、さらには火星のような惑星に住むことも可能になる。極限環境に適応できる微生物を開発できれば、人類は通常は無菌状態の場所でも生存することができる。
しかし、低酸素に適応した微生物変異体を長期の宇宙ミッションに使用するには問題もある。酸素が多すぎると毒性を持つ可能性があるからだ。しかし、NASAはすでに、宇宙飛行士が低酸素の空気や水で満たされた小さな容器内で生活する実験を計画しており、将来的に火星で生活するための準備を進めている。早ければ2030年には、人類が火星で生活を始める可能性がある。
宇宙をより迅速に植民地化するための別の方法として、微生物の代わりに藻類を利用する「再生型生命維持システム(BRS)」がある。この方法では、微生物が酸素なしで生存できるようになるのを待つ必要がなく、国際宇宙ステーションのような環境で人類が生存することを可能にする。研究者たちは、藻類と二酸化炭素を利用して酸素を生成するBRSを開発したが、コストが非常に高く、まだ宇宙空間での実験は行われていない。
これらの新しい微生物変異体のコロニーが成長すれば、それらは低酸素環境で適応するために適用されたり、地球や宇宙における人間の適応能力を研究するために利用されたりする可能性がある。